【書評】「新しい筋トレと栄養の教科書」を読んだよでも述べましたように、除脂肪に最も寄与する運動は「多関節連動運動」です。
体の色んな部位が動くトレーニングをすることで、消費エネルギー量が増え、結果として脂肪の消費に役立つんだ、というお話でした。
体の一部しか使っていない筋トレより、広く様々な部位を使った筋トレの方が効率的、という考え、どうやら除脂肪だけでなく筋肥大にも役立つようです。
筋肥大に効果的な筋トレ法「フルレンジ(ストレッチ)」
そもそも筋肉というのは、「伸びた状態」と「縮んだ状態」があります。
例えば腕でしたら、腕を伸ばしていると上腕二頭筋(力こぶのところ)が伸び、裏側の上腕三頭筋が縮みます。
反対に腕を曲げている状態でしたら、上腕二頭筋が縮み、上腕三頭筋が伸びますね。

で、この筋肉の「伸びた状態」「縮んだ状態」というのは、0か100かでなく、「30%くらい縮んだ状態」みたいなグレーゾーンでいることが多いです。
重量を上げたり負荷をかけたりして「伸びた状態」「縮んだ状態」を作るのが筋トレってことになるんですが、
完全に縮んだ状態から完全に伸びた状態、などというように0→100か100→0かの運動をしたとき、筋肉は凄まじく成長するようです。
この「完全に動かす」筋トレをフルレンジ(ストレッチ)と呼びますが、「一部分だけを動かす」パーシャルレップと比べるとかなりの効果が見込めます。
可動域を変えることによる力こぶの筋力(力の強さ)と筋肉量の変化を見る論文があります(R)。
20歳前後の若い男性40人を、フルレンジ15人、パーシャルレップ15人、なにも筋トレしない(コントロール群)10人の3つに分け、徐々に重量を上げつつ10週間筋トレさせました。
フルレンジとパーシャルレップの違いはこんな感じですね。

パーシャルレップは途中から途中までの50度しか動いてないですね。
これやってみるとツラさ全然違います。
10週間後、筋力と筋肉量を比べました。その結果、
・筋力について、
パーシャルレップでは16.0%の筋力アップだったが、
フルレンジでは25.7%の筋力アップ!(有意に筋力がついている)
・筋肉量について、
パーシャルレップでは7.37%筋肉が大きくなったが、
フルレンジでは9.52%筋肉が大きくなった!(有意にデカくなってる)
とのことでした。
これは「筋肉の全長に渡って筋肉の活動を刺激することで、成長ホルモンの分泌を促したり、サルコメア(筋肉の構成単位)が色んな角度から追加されるため、太くて長い筋肉が作成されるため」だそうです。
で、パーシャルレップは重い重量でできるじゃないですか。100キロの重りを担いでフルレンジでスクワットは無理でも、ちょっと膝曲げて戻すだけならできそう、みたいな。
合計負荷が同じになるように調整して「重い重量でパーシャルレップ」VS「軽い重量でフルレンジ」を比べても、やっぱりフルレンジのほうが筋肉が成長するらしいです。
そんなわけで「フルレンジの筋トレ、すごいぞ!」という結論なんですが、
やってみるとむっちゃくちゃ辛いんですよね……(笑)
まあでも、ハッキリ数字に出てますし、マゾ感を楽しみつつ頑張ってみようと思います。