TEDの要約・感想です。
ティム・アーバンさんの「Inside the mind of a master procrastinator」を見ました。
いやあこれ、ものすごく面白かったです。
いわゆる学術的な新発見を話しているTEDではないんですよ。「あ~あるあるw」っていうのを、当事者として分かりやすくかつ面白く言語化した素晴らしいプレゼンでした。
まず何より喋りの巧みさ。
間の取り方や表情など、オーディエンスに「ちゃんとここ笑っていいとこだよ」って伝えるのがとても上手かったですね。
で、内容もご多分に漏れず「あるあるww」ってなったので、要約してご紹介します。
先延ばししちゃう人の頭の中で何が起きてるの?
先延ばししない人の脳はこうなってると説明します。

「理性的な意思決定者」のみが存在してる状態。絵がゆるくていいですね。
これに対し、先延ばししちゃう人の脳はこうなっている。

「すぐにご褒美が欲しいサル」がすぐそばにいます。
「理性的な意思決定者」はやるべきことがあるというのを重々分かってます。
が、サルがそれを許してくれません。
やるべきことそっちのけで、今すぐ楽しいこと、それも「youtube見る」とか「ウィキペディアのどうでもいい記事見る」とか「開けたばかりの冷蔵庫を見に行く」とかいった、実にどうでも良い行動に気を取られてしまう。

で、サルに舵を取られてしまうんですな。
分かるなあ、分かるなあこれ。
テスト前に部屋掃除したくなる現象、セルフハンディキャッピングとかだけでは説明し切れなくて、気が散ってそいつに主導権を奪われてるんだなってすごく腑に落ちます。
このサルには過去も未来もない。今が楽しければいい。
動物ならそれでいいかもですが、我々現代人、哀しいけどやることやらなあかんのです。
それにサルの取りたがる行動は、実際には楽しくない、と言います。
それどころか、罪悪感、恐れ、不安、自己嫌悪が先延ばしの先に待っていると。分かりすぎる。
このサルから身を守るため、先延ばし屋には守護天使がいます。

それが彼、「パニックモンスター」。
普段眠っている彼は締切が直前に迫るなど恐ろしい出来事が近づいているとき目を覚まし、

こうしてサルを追い払ってくれます。
そして先延ばし屋だけどなんとかギリギリ社会でやって行けてる人特有のあの「火事場のクソ力」が発揮されます。
例えば夏休みの宿題を泣きながら1日で終わらせた、レポートを2日徹夜して書き上げた、などがそれです。うわあ思い当たりすぎて泣けてきたぞ。
しかしそんな戦術、若いうちしか使えません。
(この辺の言語化は借金玉さんの「発達障害の僕が「食える人」に変わった すごい仕事術」という本がうまく明瞭化されています。オススメです)
毎日の仕事って、でかいプロジェクト目指して直前にガーっと頑張るようなのは少なくて、ちゃんと毎日出社して、時間通りコツコツ働くことがメインで大切なんですよね。
パニックモンスター頼りの戦術って、使える場面が限られるんです。
パニックモンスターが使えない場面
さらにティムさんは続けます。
「締切がない状況ではパニックモンスターは現れない」と。
例えば
・始めたての個人事業や芸術(ブログや作曲にしても自覚あって刺さります……)
・家族に会いに行く(いつまでもいると思って先延ばしにしちゃいますよね……)
・運動し健康を保つ(分かりすぎる)
などを挙げてます。
確かにこれらは「いついつまでに達成しないといけないもの」という性質のものでないため、ついつい先延ばしにしがちですよね。
そして一番刺さったのはこの言葉。
「長期的な先延ばしは、自分の人生に対し傍観者のように感じさせる」
先延ばし先延ばし生きていると、漫然としてしまい自分の人生を主体的に生きているように感じられなくなる、と。うおーん。
人生、そんなに長くもないのです。
私はADHDなもので気が散りやすく、先延ばしにしがちな人生でしたが、
やりたいこと、やるべきこと、折り合いつけてしっかりと毎日丁寧に生きなきゃってまた思うに至りましたね……
あと今回の決定者とサルのメタファー、
私の尊敬するサイエンスライター、鈴木祐さんの「ヤバい集中力」の調教師とトラのメタファーを彷彿とさせました。
これもいい本なのでオススメいたします。