私、根っからのADHD当事者です。
なにもないところで転ぶわ、忘れ物はしょっちゅうする、時計を見間違えたり時間を勘違いするわ、そのくせ寂しがったり焦ったり感情も暴走する。
精神病棟や自立支援センターに勤めている友人数名からも、
「ああ、教科書どおりのADHDだって思った」ってあとから教えられるくらいです。
そんなわけで、コンサータとストラテラの2種類、ADHDの薬を服用しておりました。今はやめてますけどね。
このコンサータとストラテラ、大まかに分けると、
・コンサータ
ドーパミンやノルアドレナリンの再吸収を阻害する。
これは中枢刺激薬にあたり、いわゆる「覚醒剤」に該当する。
そのため許可された医者しか処方できない。
また、処方された患者がこれを他人に譲渡してもアウト。
・ストラテラ
ノルアドレナリンを選択的に再吸収を阻害する。
覚醒剤などには該当しない。
って感じになりますね。
個人的にどちらも飲んだ感想として、ストラテラは特にいかんです。
落ち込み、哀しみ、嬉しさ、などなど全ての感情が謎に怒りに変換されます。
体がビリビリするような違和感もあり、喉も渇き、排泄機能まで死ぬため、個人的に全くオススメしないです。
この辺の害はいずれ書きたいですね。
脳のモヤモヤが晴れるという利点もあるにはありますが、対症療法でこんな薬物に頼るのは当事者として本当にオススメできないです。
ADHD治療薬(スマートドラッグ)はe-sportsの実力向上に役立つ?
で、このADHD治療薬ですが、アメリカでは日本よりもっとカジュアルに「頭が良くなる薬」スマートドラッグとして浸透しています。
断言します。こんなもので頭がよくなることはありません。
しかし、ADHD的な傾向を排除し、「より勉学に集中出来る環境を作る」ということでしたら、まあ一定の効果はあるのかな、とは思います。対症療法ではありますが。
さて、このスマートドラッグ、e-sportsにおいてドーピングと見做され、競技時に服用禁止らしいんですね。
バリバリのADHD当事者で、かつゲーマーの私が、「実際効果はあるの?」っていうのを書いていこうと思います。
(格闘ゲーム、対戦アクションゲーム、FPSなど、リアルタイムの操作性が求められるゲームに限定してお話いたしますね)
私のメインジャンルで大好きなゲームであるスマブラ(大乱闘スマッシュブラザーズ)をベースに以降考えていきます。
そもそも「対戦ゲームが上手い」とはどういうことを指すのでしょうか。
これを定義すると、
- 相手を上手く観察でき、修正・対応が速い
- キャラの行動フレームなど、より多くのゲームに関する知識を持つ
- 反射神経がよく、人より反応フレーム、入力フレームが短い
- 「ぶっぱ」をせず、丁寧にゲームを構築する
などが該当すると考えます。
ADHD治療薬を服用した当事者として、
①に関しては全く影響はありません。
それどころか、①に関して、薬を服用することで焦りや怒りがより強くなり、対応が遅くなる経験があります。

例えばガノンドロフと戦っているとき、こちらのガード癖を発生の速くない横B(16F~)で咎められたとします。
薬を飲んでいないときなら、「いけない、ちょっとガードが多くなってた。ジャンプじゃステップを多めにしよう」となります。
ところが薬を服用していたとき、怒りや焦りが強くなり、「ナメとんのかこんな択使いやがって」と思ってしまうのです。
私だけかも知れませんが、こう思った時点で勝負事は負けなのです。書いたとおりスマートドラッグ飲むと怒りっぽくなり、それによって行動も変になってしまいますので。
(ADHD治療薬を服用している患者が凶悪事件を起こすケース、多々あります。時間があればまた書きますね)
②の「ゲームに関する知識」も影響はないことは分かるでしょう。
普段集中できない人がスマートドラッグを常用して集中してゲームの勉強(これを座学と呼びます)をしていたらちょっと話は変わるかな、とは思いますが、まあ拡大解釈でしょうねえ。
③の「反射神経が良くなる」系ですが、これは私には影響はなさげでした。
脳からの信号の伝達には電気やモノアミンなどのホルモンが使われるから少しは影響がありそうなんですけどね……
そして④の「ぶっぱをしないで丁寧にゲームができる」ですが、これは少しある、かもしれません。
ぶっぱというのは、いわゆるワンチャン技、ハイリスクハイリターンの行動です。

またスマブラで例えますが、アイクやクラウドなどのキャラクターは横スマッシュと呼ばれる一番飛ぶ技を使わず、剣のリーチを押し付け有利な間合いを作り続けることでローリスクに立ち回ることが定石とされています。
スマートドラッグを飲むと、このワンチャン狙いのぶっぱ行動がおさまり、丁寧に立ち回れる、という説です。
これはコンサータならあるかな、と思います。ストラテラでは怒りが強くなり、かえってゲームが壊れます。
あと、先程の記事に「興奮剤により疲労を感じにくくする」という記述がありましたが、これはあるとは思いますがそれならカフェインからで良いと思うんですよねえ……
長々書きましたが、決してADHD治療薬を勧めるものではありません。
ゲームの上達への一要素だけに少し効果があるかも、だけのために飲むものではないと思います。
しかしADHD当事者、服用経験者として、以上参考までに。